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準消費貸借契約公正証書

準消費貸借契約公正証書とは

準消費貸借契約公正証書は、未払の請負代金や売掛金を「お金の貸し借り」にしていることにする際や、たくさんある小口の売掛金などを一本化する際などに作成する契約書です。

取引先からの代金支払いが滞っていたり、下請け業者が請け負った仕事の代金を元請けからなかなかもらえない…
「支払をもうちょっと待ってくれ」と言われているうちに、売買代金や請負代金の時効が過ぎたり、挙げ句に取引先も倒産…ということもあります。

  • ・未払の売買代金をちゃんと返してほしい
  • ・仕事を請け負ったが、元請けが払ってくれるか心配
  • ・返してもらえなかった時は、差押えをして回収したい

このような心配事やトラブルが将来おこらないように、もともとの債務を「借金」として契約しなおし、その新しい契約内容を公正証書にしておくと安心です。

「新しい契約」をすることになるので、時効期間を延ばせます。
また、「お金の貸し借り」の契約にすると、損害賠償を請求する際に、「いくらの損害が出たか」という証明が不要になるという利点もあります。

準消費貸借契約公正証書の記載事項

準消費貸借契約公正証書には、次のような内容を記載します。

  • 旧債務の内容について

    もともとはどんな債務があったのかを記載します。
    (例:乙(借主)は甲(貸主)に対し下記の債務を負担していることを確認し、この合計額を同額の消費貸借の目的
      とすることに同意した。
      (1)平成○年○月○日借入金○万円の残債務金○万円
      (2)平成○年○月○日借入金○万円(主債務者△、保証人▲)の保証債務金○万円
      合計 金○万円也)

  • 支払い方法

    いつまでに、どうやって返済するかを記載します。
    (例:平成○年○月から平成○年○月まで毎月末日限り、毎回元金○万円と利息を、甲方に持参又は送金して支払う。)

  • 利息について

    利息を定めた場合には、その年率などを記載します。
    (例:利息は年率10%とする。)

  • 遅延損害金について

    決められた日に返せなかった場合のペナルティについて記載します。
    (例:遅延損害金は年率14.6%とする。)

  • 期限前でもすぐに返さなければならない場合について(期限の利益の喪失について)

    「決められた期限までは返済しなくてよい」という「期限の利益」がなくなり、すぐに全額一括返済しなければならないケースについて記載します。
    (例:乙は、以下の場合には、甲からの通知催告がなくても乙は当然に期限の利益を失い、
       直ちに残債務全額を支払う。
      (1)支払を1回でも期限に支払わないとき。
      (2)他の債務につき仮差押、仮処分又は強制執行を受けたとき。
      (3)乙が甲に通知なくして住所を変更したとき。)

  • 担保・連帯保証人について

    担保や保証人、連帯保証人をつけた場合には、その内容を記載します。
    (例:連帯保証人○○は、乙が甲に対し負担する一切の債務につき連帯して保証する。)

  • 強制執行について

    「もし返せなかった場合には、強制執行(差押え)を受けます」という、債務者の承諾を記載します。
    (例:乙は、本債務を履行しない場合、直ちに強制執行を受けても異議がないことを承諾した。)

準消費貸借契約公正証書作成の注意点

準消費貸借契約公正証書を作成する際には、次のような点に注意が必要です。

  • もともとの債務の内容を特定すること

    もとの債務がいつどこで発生して、未払がどのくらいあるのかを明確にします。
    その上で、その未払分を「お金の貸し借り」として契約しなおします。

  • 強制執行受諾文言を入れておくこと

    「約束通りに支払わなかった時には、強制執行を受けても異存ありません」という文言を入れておくことで、裁判をしなくてもすぐに差押えることができます。
    この文言がないと、公正証書を作っても強制執行できなくなってしまいます。

  • 期限の利益の喪失について決めておくこと

    自分に対するお金の返済日はずっと先で、その分の返済はまだしなくてもいい(期限の利益がある)けれど、今まさにその相手が倒産しそうで、期日に返してもらえる見込みがない…
    このような場合などには、期限の利益を失うことを決めておくことで、返済期日前でも「残金を一括で払ってくれ」と請求することができます。
    逆に決めてなければ、請求することもできず、返してもらえなくなるおそれがあります。

  • 利息・遅延損害金について決めておくこと

    個人間のお金の貸し借りは、民法上、原則として無利息です。
    利息の定めがなければ、利息を請求することはできません。
    また、利息や遅延損害金の年率は、利息制限法の上限を超えることはできません。

準消費貸借契約公正証書作成の必要書類等

準消費貸借契約公正証書を作成する際には、次のようなものが必要となります。

  • 債権者(貸主)に必要なもの

    ・『運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 債権者(貸主)が代理人を依頼した場合

    ・『委任状(代理人との契約内容を記し、貸主の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 債務者(借主)または保証人に必要なもの

    ・運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・ 『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 債務者(借主)と保証人が代理人を依頼した場合

    ・委任状(代理人との契約内容を記し、借主または保証人の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 当事者が法人(会社など)の場合

    ・『代表者の資格証明書と代表者印+印鑑証明書』
    ・『法人の登記簿謄本と代表者印+印鑑証明書』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 担保(抵当権)を設定した場合

    ・担保(抵当権)の目的となった不動産の『登記事項証明書』

  • もともとあった債務の契約書など

    もともとあった請負契約や売買契約の契約書などを、公正証書作成の際の資料とします。

  • 公証人手数料

    公正証書の作成の際には、その目的価額に応じて、公証人に手数料を支払わなければなりません。
    準消費貸借契約公正証書の場合の目的価額は、『借金ということにした金額』です。
    利息や保証契約は含まれません。
    公証人手数料については、こちらをご覧下さい。

  • 収入印紙

    準消費貸借契約公正証書には、借金ということにした金額に応じて、収入印紙を貼付なければなりません。
    印紙税額(収入印紙代)は、こちらになります。(印紙税法:平成25年4月1日現在)
    参考URL http://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7140.htm

    記載された契約金額 印紙税額(収入印紙代)
    1万円未満 非課税
    1万円以上 10万円以下 200円
    10万円を超え 50万円以下 400円
    50万円を超え 100万円以下 1千円
    100万円を超え 500万円以下 2千円
    500万円を超え 1千万円以下 1万円
    1千万円を超え 5千万円以下 2万円
    5千万円を超え 1億円以下 6万円
    1億円を超え 5億円以下 10万円
    5億円を超え 10億円以下 20万円
    10億円を超え 50億円以下 40万円
    50億円を超えるもの 60万円
    契約金額の記載のないもの 200円
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