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事実実験公正証書

事実実験公正証書とは

事実実験公正証書は、公証人が五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触る)によって
直接体験してわかった事実を記載した文書です。

公証人が直接見聞きした事実なので、裁判になった時には強い証拠になります。
「公人が立ち会って、見聞きした内容を記した文書」という点で、
裁判所が行う証拠保全や、警察などが行う実況見分にも似ていますが、
証拠保全に比べて手続も簡単で早いため、多種多様な場面で利用できます。

  • ・相続財産を把握するために、貸金庫の中身を確認したい
  • ・自社の特許を、他社が無断使用している状況を確認してほしい
  • ・特許の出願をせずに、製法やノウハウを保護したい
  • ・株主総会の議事や手続が、適正であることを証明してほしい
  • ・土地の境界争いの、現場の状況を確認してほしい
  • ・ネット上で名誉を傷つけられていることを、印刷して確認してほしい
  • ・不倫の証拠として、携帯メールの交信記録を確認してほしい

このようなトラブルが将来起こらないようにするために、また、トラブルが起こった際の強力な証拠として、公証人に確認してもらった事実を公正証書にしておくと安心です。

なお、「尊厳死したい」という希望を記す『尊厳死宣言公正証書』も、事実実験公正証書のひとつです。
尊厳死宣言公正証書に関しては、こちらをご覧ください。

事実実験公正証書の記載事項

事実実験公正証書には、次のような内容を記載します。

  • 公正証書作成に至った経緯について

    「誰からの」「どういう内容の」依頼で、公証人が公正証書作成するのかについて記載します。
    (例:本職は、遺言者○○(平成○年○月○日死亡)の指定する遺言執行者△△の嘱託により、
       相続財産の目録を調整し、この証書を作成する。)

  • 保護の目的、対象物について

    「何を目的として公正証書を作成するのか」について記載します。
    (例:株主総会の議案は、会社の金を着服したまま行方不明となっている取締役○○の解任であるが、
       この総会における議事の内容、決議の成立状況について、後日の紛争を防止し、証拠とするため、
       公正証書を作成する。)
    (例:嘱託人会社は○県○市○町所在の○製造所内において使用している当該製造装置につき、
       特許出願せずにノウハウとすることに決定した。
       しかし、この製造装置を技術的範囲に含む特許が登録されると、差止請求されるおそれもあるため、
       特許法第79条による先使用権を立証するため、嘱託人会社の工場長○○が製造所内で行う
       製造工程に臨み、かつその製造物の形状等を目撃し、目撃した事実を録取して公正証書を作成する。)

  • 実験内容について

    公証人がどのような事実を見聞きしたのかを記載します。
    (例:本職は、株主総会開催日時に、株式会社○○の会議室に出張し、議事の進行を見聞した。(中略)
       嘱託人は「満場一致により、本議案は可決し、本議会は○時○分に終了した」と述べた。
       以上の事実を本職は見聞した。)

  • 添付書類などについて

    公証人が見聞きした内容を補う、写真や図面などの資料について記載します。
    (例:上記の図面の他に、以下の写真、資料1、2が添付されている。
       資料1 平成○年○月○日付の指示書・記録書の写し
       資料2 平成△年△月△日付の指示書・記録書の写し)

事実実験公正証書作成の注意点

事実実験公正証書を作成する際には、次のような点に注意が必要です。

  • 事前の準備、打合せをしっかりしておくこと

    事実実験公正証書は、単に「自分(依頼者)の主張」を記録してもらうものではなく、「公証人が見聞きした事実」を記録するものです。
    したがって、公証人にしっかり内容を理解してもらうために、誰が(説明担当)、どのように説明するのか(説明内容)を、しっかり準備しておきましょう。
    それと同時に、実験方法や手順、日程、所要時間などについても、公証人と事前によく打ち合わせておくと、事実実験がスムーズに行えます。

  • もれなく記載してもらうこと

    公証人は、必ずしも特許などの「その道の専門家」でなくても良いのですが、その分、公証人が見聞きしたものが「重要なこと」か、判断できないこともあり、公正証書に記載してもらえない可能性もあります。
    強い証拠を持つ公正証書を作ってもらうためには、事前の打ち合わせに加えて、弁理士さんなどの専門家に実験当日の立会いをお願いしたり、資料や公正証書の原稿案を作ったりして、重要ポイントをもれなく伝えておきましょう。

  • 後で読んだ人がわかるように記載してもらうこと

    もし後で裁判などになった場合、裁判官たちも「その道の専門家」でない場合もあり、事実実験公正証書に書かれた内容を理解できず、証拠としての力が弱くなってしまうおそれがあります。
    そのため、後で裁判官やその他の第三者が読んでも理解できるように、わかりやすく記載してもらいましょう。

事実実験公正証書作成の必要書類等

事実実験公正証書を作成する際には、次のようなものが必要となります。

  • 本人(嘱託人)に必要なもの

    ・『運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 代理人を依頼した場合

    ・『委任状(代理人との契約内容を記し、委任者の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 当事者が法人(会社など)の場合

    ・『代表者の資格証明書と代表者印+印鑑証明書』
    ・『法人の登記簿謄本と代表者印+印鑑証明書』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 図面などの確認資料

    設計図面や遺言公正証書、貸金庫契約書、不動産登記事項証明書など、事実実験公正証書作成に必要となる添付書類や確認書類を用意します。

  • 公証人手数料

    公正証書の作成の際には、公証人に手数料を支払わなければなりません。
    手数料は、「見聞きと証書作成にかかった時間」が『1時間までごとに11,000円』です。
    休日や午後7時以降に行った場合には、手数料が50%加算されます。
    また、公証人に会社や銀行などへ来てもらって作成する場合にも、手数料が50%加算され、
    日当(一日1万円。4時間以上は2万円)と交通費も支払います。

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