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婚姻に伴う合意契約公正証書

婚姻に伴う合意契約公正証書とは

婚姻に伴う合意契約公正証書は、結婚の際に決めた夫婦間の約束事を記す契約書です。

結婚そのものは、夫と妻の双方が「結婚したい」と合意して、婚姻届を提出することで成立します。
しかし、生まれ育った環境が違えば、性格や価値観が違うのが当たり前ですし、
結婚し一緒に生活して、初めてわかることも多々あります。
親や兄弟、親戚との関係など、結婚しないとわからないこともたくさんあります。

  • ・幸せな結婚生活を、円満に送りたい
  • ・結婚前は優しかったのに、結婚後に相手が激変してしまった
  • ・約束を破った時のペナルティを決めておきたい

仕事のこと、お金のこと、家事や育児のこと、親の介護のこと…
長い共同生活を送るうえで、避けて通れないこのような「現実的な話題」は、いざその時になってみると、あらためて話をしづらい場合もあります。
そして、こうした「大事な話」を夫婦できちんとできない状況こそが、お互いの間にストレスを生み、ギクシャクとした雰囲気を作ってしまいます。
このような心配事やトラブルが将来おこらないように、婚姻届を提出する前にあらかじめ合意内容を公正証書にしておくと安心です。

なお、既に婚姻届を提出した「法律上の」婚姻の場合だけでなく、婚姻届を提出しない「事実上の」結婚(内縁関係)、または同性婚の場合にも、同じように「共同生活を送るうえでの約束事」を決めておくことができます。
特に内縁や同性婚は、「法的に保護されない夫婦」であるという面からも、公正証書で契約書を作成しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。

婚姻に伴う合意契約公正証書の記載事項

婚姻に伴う合意契約公正証書には、次のような内容を記載します。

  • 財産や収入について

    自宅等の共同財産や、仕事、貯蓄などについて記載します。
    (例:基本的に甲(夫)が乙(妻)を養うが、経済的に厳しい場合は乙も協力して仕事を行う。)

  • 生活全般について

    生活費の管理や趣味・嗜好、友人との付き合い方などについて記載します。
    (例:(1)家事はお互いに協力して行うものとする。
       (2)○万円以上の出費がある場合には、必ず事前に相談する。
       (3)ギャンブルや借金はしない。
       (4)お互いに借金等の保証人にはならない。)

  • 子どもについて

    子どもを持つかどうかや人数、育児や教育方針などについて記載します。
    (例:乙が妊娠・出産をした場合、甲及び乙は協力して子どもを育てることとする。
       子どもが希望すれば、大学まで進学させることとする。)

  • 親や親戚との付き合い方について

    親族との同居や介護、冠婚葬祭などについて記載します。
    (例:甲及び乙は、お互いの親族と同居する義務を負わない。
       ただし、介護を要するなど同居が必要になった場合などには、十分に協議する。)

  • 約束違反について

    夫婦間の約束が破られた場合のペナルティなどを記載します。
    (例:本契約に反する行為を行った場合には、違約金として相手方に○万円を支払う。)

  • 離婚について

    どのような場合に離婚の話し合いを行うのかを記載します。
    (例:次に定める場合には、離婚についての協議を行う。
       (1)本契約に反する行為を行った場合
       (2)借金や不貞行為、家庭内暴力などで、経済的、精神的に解決が困難な問題が発生したり、
       発生するおそれがある場合)

  • 強制執行について

    「もし支払わなかった場合には、強制執行(差押え)を受けます」という、支払う側の承諾を記載します。
    (例:本契約による金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する。)

婚姻に伴う合意契約公正証書作成の注意点

婚姻に伴う合意契約公正証書を作成する際には、次のような点に注意が必要です。

  • 契約を交わす目的について

    「契約書」という言葉から、「結婚=束縛される」というイメージを持ってしまったり、「結婚の時から離婚や慰謝料について決めるなんて縁起が悪い」という印象を受けてしまうかもしれません。
    しかし、契約書には「天災や事故に備える保険」と同じように、「いざというとき」の安心材料という、大きな役割があります。
    『無我夢中に急いで結婚するから一生悔いる(フランスの劇作家・モリエール)』ことにならないよう、「二人でこれからのことをじっくりと考える」ための「きっかけ」が、この合意契約を結ぶひとつの目的と言えます。
    そのため、契約書を作成する際には、自分の意見だけを主張するのではなく、相手の意思も尊重し、しっかり話し合いをしましょう。

  • 夫婦間の契約について

    婚姻『中』に夫婦間で交わした契約は、原則として、いつでも、一方的にでも、取り消すことができます(民法754条)。
    結婚『前』ではなく、結婚『中』にこの合意契約公正証書を作成する際には、「民法の『夫婦間契約の取消権』は使いません」という除外規定を入れておくと良いでしょう。

  • 内容の変更・追加について

    想定外のことが次々と起こるのが、人生というものでもあります。
    結婚時とは二人の状況が変わってしまった時のために、契約の内容を変更したり、追加できる旨を記載しておくと安心です。
    また、「○年ごとに見直す」といった、定期的な更新をすることもできます。

  • 約束事項やそのペナルティについて

    あまりに約束事が細かく膨大だったり、海外セレブ並の莫大な違約金だったりすると、この合意契約公正証書そのものが「ケンカの種」になってしまいます。
    「円満な夫婦生活を送る」ために作成するものですので、結婚式で宣言する「結婚の誓い」を具体的にしたもの、と考えておきましょう。

  • 強制執行受諾文言を入れておくこと

    「約束通りに支払わなかった時には、強制執行を受けても異存ありません」という文言を入れておくことで、裁判をしなくてもすぐに差押えることができます。
    この文言がないと、公正証書を作っても強制執行できなくなってしまいます。

婚姻に伴う合意契約公正証書作成の必要書類等

婚姻に伴う合意契約公正証書を作成する際には、次のようなものが必要となります。

  • 夫と妻に必要なもの

    ・『運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 夫や妻が代理人を依頼した場合

    ・『委任状(代理人との契約内容を記し、委任者の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 保証人をつけた場合

    ・保証人の『運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・保証人の『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 約束事を書いたメモなど

    夫婦間で取り決めた約束事を記したメモなどを、公正証書作成の際の資料とします。

  • 公証人手数料

    公正証書の作成の際には、その目的価額に応じて、公証人に手数料を支払わなければなりません。
    婚姻に伴う合意契約公正証書の手数料は、『11,000円 』です。
    ただし、違約金を決めた場合には、『違約金の額に応じた手数料』が加算されます。
    公証人手数料については、こちらをご覧下さい。

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