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死因贈与契約公正証書

死因贈与契約公正証書とは

死因贈与契約公正証書は、「自分が死んだら、財産をあなたにあげます」という約束をする際に作成する契約書です。

「自分の死後に誰かに遺産をあげる」という点では、遺言で財産をあげる場合と似ています。
しかし、遺言は「あの人にあげたい」という一方的な『意思表示』ですが、死因贈与契約は「あなたにあげます(申込)」「もらいます(承諾)」という、「あげる人(贈与者)」と「もらう人(受贈者)」の『契約』という点が違います。
また、遺言は法律で様式が決まっていたり、証人が必要だったりしますが、死因贈与契約は、あげる人ともらう人の話し合いがまとまれば契約できます。
さらに、生きているうちにあげる場合(生前贈与)は、贈与税がかかりますが、死因贈与だと相続税になるので、贈与税より税金が安くなります。

  • ・遺言よりも簡単に財産をあげたい
  • ・土地をくれることになったが、本当にもらえるか心配
  • ・財産をあげる代わりに、死ぬまで面倒を見てほしい

口約束での贈与契約は、いつでも撤回することができますし、実際にあげる人が死んだ際、その相続人たちに対して、「本当にその契約があったのか」を証明することが難しくなります。
このような心配事やトラブルが将来おこらないように、あらかじめ契約内容を公正証書にしておくと安心です。

死因贈与契約公正証書の記載事項

死因贈与契約公正証書には、次のような内容を記載します。

  • 贈与の対象物について

    だれが、だれに、何を贈与すると約束したのかを記載します。
    (例:甲(贈与者)は、その所有する下記の土地を、乙(受贈者)に贈与することを約し、乙はこれを承諾した。
       所在 ○県○市○町○丁目
       地番 ○番○
       地目 宅地
       地積 ○○.○○㎡

  • 契約の効力について

    あげる人が死亡したら契約の効力が生じることを記載します。
    (例:本契約は、甲の死亡によって効力を生じる。本件不動産の所有権は、甲の死亡と同時に、乙に移転する。)

  • 所有権移転請求権の仮登記について

    贈与の効力が生じるまで、「もらえる権利」を確保するための仮登記をする旨を記載します。
    (例:甲は、乙のために、所有権移転請求権保全の仮登記の手続を行う。
       また甲は、乙がこの仮登記手続を申請することを承諾する。)

  • 執行者について

    だれに、契約の内容を実現してもらうのかを記載します。
    (例:本契約の執行者として、下記の者を指定する。
       住所 ○県○市○町○丁目○番○号
       氏名 行政書士 ○○
       昭和○年○月○日生)

  • 受贈者が先に死亡した場合について

    もらう人があげる人よりも先に死亡した場合、契約がどうなるのかを記載します。
    (例:甲が死亡するより先に、乙が死亡した場合は、本契約は効力を失う。)

  • 契約の解除について

    契約をなかったことにできるケースについて記載します。
    (例:乙が甲に対し重大な侮辱を加えたとき、または乙にその他著しい非行があった場合には、
       甲は本契約を解除することができる。)

  • 受贈者が負う義務がある場合

    財産をもらう代わりに、一定の義務を負う場合(負担付死因贈与)、その内容を記載します。
    (例:乙は、甲より本件不動産を受ける代わりに、甲が死亡するまで扶養しなければならない。)

死因贈与契約公正証書作成の注意点

死因贈与契約公正証書を作成する際には、次のような点に注意が必要です。

  • 所有権移転請求権仮登記について

    死因贈与契約では、あげる人が死んだ時にはじめて、不動産の所有権がもらう人に移転します。
    死因贈与契約公正証書を作成する時に(あげる人がまだ生きている)、「所有権移転請求権仮登記」について記載しておくことで、その不動産をもらえる権利を確保することができます。
    また、あげる人が「仮登記をすることを承諾している」旨の記載があれば、もらう人が単独でこの仮登記の申請をすることができます。

  • 執行者について

    死因贈与契約公正証書では、執行者(契約の内容を実現する人)を指定できます。
    この指定がなければ、相続人全員に対して「契約内容を実現してくれ」と請求しなければならなくなり、面倒な手続が多くなってしまいます。
    そのため、利害関係がなく、登記などの手続に詳しい専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)を指定しておくと安心です。

  • もらう人があげる人よりも先に死亡した場合について

    もし、財産をもらう人が、あげる人よりも先に死んでしまった場合に、この契約がどうなってしまうのかを記載しておくことで、「その財産が誰のものになるか」というトラブルを防ぐことができます。

  • 契約の解除について

    死因贈与契約を口約束でしてしまうと、いつでも撤回されてしまうおそれがあります。
    もらう人から見ると、公正証書で契約書を作成することによって、確実に約束を守ってもらえるという利点があります。
    逆にあげる人から見ると、なかなか契約を白紙にできないことになります。
    もし、もらう人があげる人を虐待したり、人格や名誉を激しく傷つけるなど、お互いの信頼関係が失われるような「万が一の場合」には、契約を解除できるという条件をつけておくと、あげる人にとって安心です。

  • 負担付死因贈与について

    財産をもらう人は、その財産の価値以上の義務を負担する必要はありません。
    また、もらう人が義務を果たしていると、特別な事情がない限り、あげる人は契約を取り消すことができません。
    逆に、もらう人が義務を果たさない場合には、契約をなかったことにするという条件をつけておくと、あげる人も安心できます。

死因贈与契約公正証書作成の必要書類等

死因贈与契約公正証書を作成する際には、次のようなものが必要となります。

  • あげる人(贈与者)に必要なもの

    ・『印鑑証明書+実印』
    ・『戸籍謄本』
    ・『住民票』
    上記すべてが必要となります。

  • もらう人(受贈者)に必要なもの

    ・『印鑑証明書+実印』
    ・『住民票』
    上記すべてが必要となります。

  • 代理人を依頼した場合

    ・『委任状(代理人との契約内容を記し、委任者の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 当事者が法人(会社など)の場合

    ・『代表者の資格証明書と代表者印+印鑑証明書』
    ・『法人の登記簿謄本と代表者印+印鑑証明書』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 不動産をあげる場合

    ・その不動産の『登記事項証明書』または『固定資産評価証明書(納税通知書)』

  • 不動産以外をあげる場合

    ・『預金通帳』など

  • 執行者に必要なもの

    ・『運転免許証』や『住民票』など、執行者の住所・氏名・生年月日・職業がわかるもの

  • 死因贈与契約書やメモなど

    当事者間で交わした『死因贈与契約書』やメモなどを、公正証書作成の際の資料とします。

  • 公証人手数料

    公正証書の作成の際には、その目的価額に応じて、公証人に手数料を支払わなければなりません。
    死因贈与契約公正証書の目的価額は、『贈与する金額』『贈与する目的物の価額』です 。
    贈与するものが算定不能の場合の手数料は、『11,000円』になります。
    また、公証人に自宅や病院へ来てもらって作成する場合には、手数料が50%加算され、日当(一日1万円。4時間以上は2万円)と交通費も支払います。
    公証人手数料については、こちらをご覧下さい。

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