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土地賃貸借契約公正証書

土地賃貸借契約公正証書とは

土地賃貸借契約公正証書は、土地を貸し借り(借地)する際に作成する契約書です。

土地を貸し借りする借地契約は、30年や50年といった長期間続く可能性が高い契約です。
そのため、契約期間中に、契約した貸主や借主が亡くなり、相続人が権利を引き継ぐといったことも起こりえます。

最初に契約した当事者たちは仲の良い友人同士で、口約束でも問題が起こらなかったとしても、相続人とも同じような信頼関係を結べるとは限りません。
契約から何十年も経って、記憶があいまいになった頃に、「言った」「言わない」の争いになる可能性もあります。

  • ・賃料はきっちりと払ってほしい
  • ・決められた期間が過ぎたら、土地を明け渡してほしい
  • ・賃料不払いの時は、差押えをして回収したい

長期間続く土地の貸し借りの場合には、このような心配事やトラブルが将来おこらないように、原本を公証役場で保管してもらえる公正証書にしておくと安心です。

土地賃貸借契約公正証書の記載事項

土地賃貸借契約公正証書には、次のような内容を記載します。

  • どの土地を、どういう目的で利用するのか

    具体的な土地の所在と、どういった用途でその土地を使うのかを記載します。
    (例:甲(賃貸人)は、所有する下記土地を乙(賃借人)に賃貸し、乙はこれを建物所有の目的で賃借した。
       所在:○市○町○丁目
       地番:○番○
       地目:○○
       地積:○○.○○㎡)

  • 契約期間について

    いつからいつまで何年間、土地を貸し借りするのかを記載します。
    (例:賃貸借の期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの○年間とする。)

  • 賃料と支払方法について

    賃料はいくらで、どうやって支払うかを記載します。
    (例:賃料は月額○万円とし、乙は毎月末日までに、翌月分を甲指定の口座に送金して支払う。)

  • 契約の解除について

    契約期間内でも、その契約を解除できるケースについて記載します。
    (例:甲は、乙が以下のいずれかに該当した時は、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。
      (1)賃料の支払を○ヶ月以上怠ったとき。
      (2)強制執行、差押え、破産の申立を受けたとき。
      (3)本契約の条項に違反したとき。)

  • 契約終了時の明け渡しについて

    契約が終了(または解除)した時には、土地を元の状態に戻して(原状回復)明け渡す旨を記載します。
    (例:乙は、本契約が終了した時は、土地を原状に復した上で、直ちに甲に明け渡さなければならない。)

  • 担保・連帯保証人について

    担保や保証人、連帯保証人をつけた場合には、その内容を記載します。
    (例:連帯保証人○○は、乙が甲に対し負担する一切の債務につき連帯して保証する。)

  • 強制執行について

    「もし支払えなかった場合には、強制執行(差押え)を受けます」という、賃借人の承諾を記載します。
    (例:本契約による金銭債務を履行しない場合、直ちに強制執行に服する旨を陳述した。)

土地賃貸借契約公正証書作成の注意点

土地賃貸借契約公正証書を作成する際には、次のような点に注意が必要です。

  • 土地の利用目的をはっきりさせること

    土地をどういった用途で使うのかは、その土地の周辺との関係や価値などによって、配慮すべき点がたくさん出てきます。
    そのため、利用目的に応じた法律が適用されます。
    ・一時的な利用や駐車場・資材置き場などに利用する場合 ・・・民法
    ・建物所有を目的とする場合 ・・・借地借家法
    ・農地や山林など宅地以外の場合 ・・・農地法や土地計画法
    どの法律が適用されるかをきちんと確認した上で、その法律に違反しないような契約内容にしなければいけません。

  • 契約期間と更新について決めておくこと

    建物所有を目的とする土地賃貸借契約には、契約期間や契約更新の有無などに応じて、次のような種類があります。
    ・通常の賃貸借契約(貸主に更新拒絶する正当理由がなければ、契約は更新する)
    ・一般定期借地権設定契約(期間終了後、更新なく契約が終了する)
    ・事業用定期借地権設定契約(事業用に土地を一定期間利用する場合)
    ・建物譲渡特約付借地権設定契約(期間終了後、貸主が借地上の建物を買い取る)
    これらの契約の種類によって、契約の期間や契約更新するかどうか、契約更新しない時にその建物を地主に買い取ってもらえるかどうか(建物買取請求)など、下記のような違いがでてきます。

    契約の種類 存続期間 契約の
    更新
    契約の終了時 建物買取請求権
    通常の賃貸借 30年 あり 存続期間の満了 あり
    一般定期借地権 50年以上 なし 存続期間の満了 なし
    事業用定期借地権 10年以上30年未満 なし 存続期間の満了 なし
    30年以上50年未満 なし 契約で定めた存続期間の満了 契約で定めれば請求権の排除可能
    建物譲渡特約付借地権 30年以上 なし 契約で定めた借地上の建物を譲渡するとき あり

    このうち、事業用定期借地権設定契約を結ぶ際には、公正証書による契約書作成が義務付けられています。

  • 強制執行受諾文言を入れておくこと

    「約束通りに支払わなかった時には、強制執行を受けても異存ありません」という文言を入れておくことで、裁判をしなくてもすぐに差押えることができます。
    この文言がないと、公正証書を作っても強制執行できなくなってしまいます。

土地賃貸借契約公正証書作成の必要書類等

土地賃貸借契約公正証書を作成する際には、次のようなものが必要となります。

  • 貸主と借主に必要なもの

    ・『運転免許証等(パスポートや写真入りの住基カード)+認印』
    ・『印鑑証明書+実印』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 貸主や借主が代理人を依頼した場合

    ・『委任状(代理人との契約内容を記し、委任者の実印を押したもの)+印鑑証明書』
    ・代理人自身の『運転免許証等+認印』、もしくは『印鑑証明書+実印』
    上記すべてが必要となります。

  • 当事者が法人(会社など)の場合

    ・『代表者の資格証明書と代表者印+印鑑証明書』
    ・『法人の登記簿謄本と代表者印+印鑑証明書』
    上記のうちいずれかが必要となります。

  • 賃貸借契約書など

    当事者間で交わした契約書や、契約内容を記した書面を、公正証書作成の際の資料とします。

  • 公証人手数料

    公正証書の作成の際には、その目的価額に応じて、公証人に手数料を支払わなければなりません。
    土地賃貸借契約公正証書の場合の目的価額は、『期間中の賃料総額の2倍』です。
    建物所有を目的とする10年超の契約の場合などは、『10年分の賃料総額の2倍』です。
    賃貸借契約は、双方が義務を負うので(借主に使用させる義務+貸主に賃料を支払う義務)、それぞれが負担する価格の合計額(土地の使用料+賃料)が目的価額となります。
    公証人手数料については、こちらをご覧下さい。

  • 収入印紙

    土地賃貸借契約公正証書の中に、権利金や更新料などの「将来返還されないお金」が記載されている場合には、その金額に応じて収入印紙を貼付なければなりません。
    賃料や、保証金などの将来返還されるお金だけが記載されている場合には、「契約金額の記載がないもの」として、200円の収入印紙を貼付ます。
    参考URL http://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7140.htm

    記載された契約金額 印紙税額(収入印紙代)
    1万円未満 非課税
    1万円以上 10万円以下 200円
    10万円を超え 50万円以下 400円
    50万円を超え 100万円以下 1千円
    100万円を超え 500万円以下 2千円
    500万円を超え 1千万円以下 1万円
    1千万円を超え 5千万円以下 2万円
    5千万円を超え 1億円以下 6万円
    1億円を超え 5億円以下 10万円
    5億円を超え 10億円以下 20万円
    10億円を超え 50億円以下 40万円
    50億円を超えるもの 60万円
    契約金額の記載のないもの 200円
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